重症薬疹(SJS, TEN, DIHS)についてまとめ

重症薬疹についてまとめ。思い切り混同していたが、それぞれ異なる。重症薬疹は3つ。スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens Johnson Syndrome;SJS)、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis;TEN)、薬剤性過敏性症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)。DIHSは比較的新しい概念。【薬剤アレルギー 重症薬疹をめぐって】 重症薬疹研究班診断基準2005の意義と解説、藤山幹子、皮膚アレルギーフロンティア4巻2号 Page69-72(2006.07)より引用。



スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens Johnson Syndrome;SJS):発熱を伴なう口唇、眼結膜、外陰部などの皮膚粘膜移行部における重症の粘膜疹および皮膚の後半で、しばしば水泡、表皮剥離などの表皮の壊死性障害を認める。原因の多くは薬剤である。

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis;TEN):広範囲な紅斑と、全身の10%以上の水泡、表皮剥離・びらんなどの顕著な壊死性障害を認め、高熱と粘膜疹を伴なう。原因の大部分は薬剤である。

薬剤性過敏性症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS):高熱と臓器障害を伴なう薬疹で、薬剤中止後も遷延化する。多くの場合、発症後2〜3週間後にHHV-6の再活性化を生じる。


SJSとTENの違いは、皮膚病変の有無。SJSは粘膜病変が主体。最初は皮膚病変が少なくSJSだと思っていても、後に皮膚病変が拡大してTENに移行する場合もある。研究班の診断基準では、皮膚病変の割合が10%を超えていたらTEN。DIHSは診断基準があるからそれを満たせば診断できる。DIHSとSJSの合併、あるいはDIHSとTENの合併もありうる。SJSの死亡率は6.3%、TENは17.7〜27.5%*1。意外と死ぬ。

*1: SJS/TENの早期診断と治療 皮膚科医の役割、末木博彦ら、皮膚アレルギーフロンティア(1348-7280)4巻2号 Page73-77(2006.07)