B型劇症肝炎の血清マーカー

B型劇症肝炎でHBs抗原陰性例があることは知っていたが、頻度や、HBe抗原/抗体ではどうなのか、ということは知らなかった。やや古いが、Gimson et.al. Serological markers in fulminant hepatitis B, Gut, 24(1983), 615-617では、劇症B型肝炎17例と、脳症を起こさなかった急性B型肝炎17例において、各血清マーカーに差があるかどうかを見ている。以下の表は本文を読んで私が作成した。


劇症肝炎へ移行(development fulminant hepatic failure)急性B型肝炎(never encephalopathy)
17人(女性11人男性6人)17人(女性4人男性13人)
2人がHBs抗原陰性・HBs抗体陽性全員HBs抗原陽性・HBs抗体陰性
HBs抗原濃度低いHBs抗原濃度高い(P<0.001)
HBe抗原陽性 2名(12%)HBe抗原陽性 15名(88%)
HBe抗体陽性 2名HBe抗体陽性なし
HBc-IgM抗体価高いHBc-IgM抗体価低い(P<0.05)

B型劇症肝炎ではHBs抗原陰性例が存在する。17人中2人は「稀」とは言えない。必ず抗HBc-IgM抗体およびHBs抗体も測定するべき。HBe抗原/抗体については、劇症例と非劇症例でHBe抗原陽性率がそれぞれ12%、88%と対照的なのが面白い。劇症例では、免疫反応が激烈であるからこそ、セロコンバージョンが早くに起こるのであろう。